443 / 3580

番外編 彼のお兄さん

心望と太惺を寝かし付けながらそのまま寝落ちしたみたいで、隣に遥香がいないことに気が付き一瞬で目が覚めた。 起き上がろうとしら、何故か身動きが取れなくて。誰かの腕を枕にして、煙草の匂いが染み付いた服にしがみついて寝ていた。 まさか……と思いつつ上目遣いにそぉーと顔を覗き込んだ。 思い当たる人は一人しかいない。 でも何で?疫病神とか気色悪いって言ってたはずじゃ…… 「お前の娘はトイレだ。琥珀が面倒をみてるから安心しろ」 ムギューと力を籠め片手で抱き締められて。全身から血の気が引いた。 彼以外のおとこのひとは絶対にイヤ。 ただただ嫌悪しかなくて。 手をグーに握り締め胸をポンポンと叩きながら、ブンブンと首を横に振った。 苦笑いしながら「ディカン イエシ メイヨウ ヨシダ」と口にするとすぐに目を閉じてしまった。 ちょっと真沙哉さん‼ 僕抱き枕じゃないよ‼ 何とかして腕を振りほどこうと手足をバタつかせ抵抗したけど、びくともしなかった。 そのうち遥香を抱っこして琥珀さんが戻ってきて、そっと隣に寝かせてくれた。 彼もまた「ディカン イエシ メイヨウ ヨシダ」そう言って苦笑いしていた。

ともだちにシェアしよう!