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番外編 彼のお兄さん
心望と太惺を寝かし付けながらそのまま寝落ちしたみたいで、隣に遥香がいないことに気が付き一瞬で目が覚めた。
起き上がろうとしら、何故か身動きが取れなくて。誰かの腕を枕にして、煙草の匂いが染み付いた服にしがみついて寝ていた。
まさか……と思いつつ上目遣いにそぉーと顔を覗き込んだ。
思い当たる人は一人しかいない。
でも何で?疫病神とか気色悪いって言ってたはずじゃ……
「お前の娘はトイレだ。琥珀が面倒をみてるから安心しろ」
ムギューと力を籠め片手で抱き締められて。全身から血の気が引いた。
彼以外のおとこのひとは絶対にイヤ。
ただただ嫌悪しかなくて。
手をグーに握り締め胸をポンポンと叩きながら、ブンブンと首を横に振った。
苦笑いしながら「ディカン イエシ メイヨウ ヨシダ」と口にするとすぐに目を閉じてしまった。
ちょっと真沙哉さん‼
僕抱き枕じゃないよ‼
何とかして腕を振りほどこうと手足をバタつかせ抵抗したけど、びくともしなかった。
そのうち遥香を抱っこして琥珀さんが戻ってきて、そっと隣に寝かせてくれた。
彼もまた「ディカン イエシ メイヨウ ヨシダ」そう言って苦笑いしていた。
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