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番外編 彼のお兄さん

「ちょっと話しが違うんじゃないの!」 屈強な男たちの制止を振り払い甲高い声で喚き散らしながら女性が姿を現した。 あっ、この人………… スカルが成り済ましていた人だ。湍水咲さん。彼の元フィアンセのひと。 「静かにしろ。ガキ共が起きるだろうが」 真沙哉さんの表情がみるみるうちに険しくなっていた。 「誰よりも私だけを愛してるって言ったよね?」 「はぁ?誰がお前みたいな女」 そう吐き捨てると琥珀さんに手渡された真っ白いシャツに袖を通した。 「瀕死の息子を見殺しにし、誰とでも寝るお前みたいな尻軽女に、この俺が本気で惚れると思うか?」 クククと冷笑した。 「遥琉(アイツ)に復讐する為に利用しただけだ。閨での戯れ言をまともに信じたお前がバカなんだ」 咲さんをじろっと目で脅し付けながら、ハイブランドのダークグレーの上着を羽織る真沙哉さん。何気にその視線が僕へと向けられた。 「分かっていないようだから教えてやる。何で俺がお前を疫病神と言ったか。無意識のうちにお前は近寄ってくる男どもを虜にさせ、夢中にさせているんだ。つくづく罪な男だお前は………自覚がない分タチが悪い。実の父親や遥琉《アイツ》。それだけじゃない。播本の息子に鳥飼。それに琥珀や俺まで……」

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