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番外編 焼きもちを妬いてばかりいる彼

「姐さん!」 「良かったご無事で……」 外に出ると菱沼組や龍一家のみんなが一斉に駆け寄ってくれた。 「ありがとう、みんな……」 ちゃんと伝わるか不安だったけど、一言一言に感謝の想いを乗せた。 「姐さんが喋ってる!」 「親父に早く連絡しろ!」 みんな驚くのも無理ない。ごめんなさい、決して驚かせるつもりはなかったんだけど…… 「姐さん、いつ上から狙撃されるか分からないから早く車に乗ってください」 颯人さんが警戒しながら横付けされていた車のドアを開けてくれた。 「良かったな喋るようになって。父さん、ありがとう姐さんを助けてくれて」 「颯人お前………」 お祖父ちゃんも予想外のことに驚いていた。 今まであんたとかお前で、父さんって呼ばれたことがなかったから。 颯人・・・・声を掛けるも恥ずかしいのか顔をプイと逸らしてしまった。 そのまま真っ直ぐ向かったのは自宅ではなくて、近所にある上澤先生の診療所だった。恐る恐る処置室の扉を開けると、ベテランの看護師さんにちょうど包帯を巻いてもらっているところだった。 「あんたら二人して無茶ばっかりするから傷口が開くんだろうが」 上澤先生がやれやれとため息をついていた。 「あっ、ママだ」 彼の隣にちょこんと座って足をぶらぶらさせていた一太がすぐに気付き、ピョンと飛び降り駆け付けてくれた。 「未知」彼が椅子から慌てて立ち上がろうとしたけれど、看護師さんにまだ終わってませんよって注意されて、しゅんとしていた。 「傷はたいしたことはない。防弾チョッキを着用していたから、掠り傷だ」 「おいおい遥琉。確かに肩の傷は掠り傷かも知れないが、今回はたまたま運が良かっただけだ。貫通こそしなかったが、体はそれなりのダメージを受けているんだぞ。分かっているのか?」 上澤先生も呆れていた。

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