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番外編 焼きもちを妬いてばかりの彼
他の患者さんの迷惑になります。ちゃんと車の中で説明しますから。橘さんにそう言われ渋々ながら「分かったと」だけ返した彼。会計を済ませ、久し振りの我が家へと帰途についた。
「でも良かったな喋れるようになって」
彼の右腕が肩に回ってきて、そのまま抱き寄せられた。広くて温かくて大きな胸、大好きな彼の匂いにようやく安堵のため息がもれた。
「寄り掛かってもいいぞ」
「うん、でも・・・・」
肩の傷がまだ完治してないんだもの。
無理させる訳にはいかないから。決してイヤだからじゃないからね。怒られるのを覚悟して首を横に振ると、
「やっぱり未知の声、愛らしくてすごく可愛い」
さっきまで臍を曲げていたとは思えないくらい機嫌良くにこにこと笑っていた。
僕の腕の中ですやすやと眠る心望のあどけない寝顔と、彼に抱っこされあーうーと声を出して機嫌良く笑う交互に覗き込んではその都度目を細めていた。
「一月前に匿名の全文中国語で書かれたメールが送信されてきたんです。中国語は全く分からないので、顔の広い茨木さんなら誰か中国語が分かる人物を紹介してくれるのではないかと思い相談したんです」
ハンドルを握りながら前を見据える橘さん。助手席にはチャイルドシートに座った遥香が足をぶらぶらさせていた。
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