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Thanks!SS 遥香と琥珀さん

「こはくしゃん、こっち、こっち」 「走ったら危ないです」 あのあと、歩いて十分もかからない近所のスーパーにみんなで買い物に出掛けた。遥香は琥珀さんの手を掴み真っ直ぐお菓子売り場に直行し、彼と一太はというと……… あれいない。キョロキョロと辺りを見回すもいつの間にかいなくなっていた。 「まぁいつものことです。柚原さんから電話が来る前に買い物を済ませましょう」 太惺と心望はお昼寝中。 柚原さんや弓削さんがみててくれているから安心だ。 橘さんと足早に売り場を巡りながら買い物をしていると、店員さん達が血相を変えお菓子売り場に駆け込んでいくのが見えた。 遥香と琥珀さんの身に何かあったのかも知れない。行こうとしたら橘さんに止められた。 「未知さんはここから動かないように。私が見てきます」 代わりに様子を見に行ってくれた。 それから数分後ーー 「見せ物じゃないよ」 泣きじゃくる遥香を抱っこしあやしながら琥珀さんが騒ぎを聞きつけて集まってきた野次馬の人混みを掻き分けて姿を現した。 「遥香、どうしたの?大丈夫?」二人に慌てて駆け寄った。 「知らない男の子が後ろからぶつかってきて転んだみたいです。謝りもしないで立ち去ろうとしたのでその子を注意したら、近くにいた親が逆ギレして琥珀さんに掴み掛かろうとしたみたいで、まぁ、膝を擦りむいた程度で良かったです」 一緒に戻ってきた橘さんが説明してくれた。 「全然、良くない」 琥珀さんが珍しく声を荒げ、 「ちゃんと躾なってない。だから、遥ちゃん怪我した」 興奮が冷めやらず橘さんに食って掛かった。そんな彼に、 「おぃまだ話しが終わってねぇだろ」茶髪で鼻にピアスをした若い男性が大声を張り上げ、凄みをきかせながら近付いてきた。

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