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Thanks!SS 遥香と琥珀さん

「近頃の若い人、礼儀を知らない」 琥珀さんがやれやれとため息をついた。 「はぁ?何だテメェーその態度。俺は九鬼興業の寺内の身内だ、喧嘩売ってるのか?」 男性が鼻息を荒くし息巻きながらじりじりと詰め寄った。 「喧嘩を売ったのはそっち。俺関係ない。子供の前みっともない」 「何だその言い方。人をばかにしてんのか!」 「大きい声、五月蝿い」 琥珀さんだって負けじと男性を睨み付けた。 お互い一歩も引くことく睨み合うこと数分。遥香は琥珀さんの胸にしがみつきながら、何度も鼻を啜っていた。 「おぃ何やってんだ」 初老の男性が慌てて割り込んできた。 「寺内さん止めないでください。コイツ、うちのガキがわざとぶつかったっていちゃもんつけやがったんです」 「おぃおぃぶつかったのはお前の息子の方だろう。ちゃんと頭下げて謝れ。度会の息子と、菱沼組の卯月の女房と娘に」 「………」 男性の顔からみるみる血の気が失せて真っ青になった。嘘だろ、マジか。独り言を口にしながら、遥香と琥珀さんを二度、三度と見た。

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