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番外編 底無しの憎悪の刃
「遥琉さん、あのね・・・・・」
「ん⁉どうした?」
「ううん、何でもない」
僕の膝を枕代わりにして横になり、すりすりと嬉しそうに頬を服に擦り付け、至福のひとときを満喫する彼を眺めるうち余計な心配を掛させちゃいけない。そんな想いが浮かんできた。
慌てて首を横に振ったけど、彼にすぐに看破された。
「産まれてきちゃいけない子なんていない。俺は、未知や一太が産まれてきてくれたことに感謝している。ありがとうな」
ほんのりと微笑《わらっ》て、大きな手で頬を優しく撫でてくれた。
「遥琉さん、あのね」
「未知、橘にも言われたはずだ。お前のせいじゃないし、誰のせいでもない。遅かれ早かれ真沙哉や、その背後で糸を引いているりーとはケリをつけなきゃいけなかったんだ」
「ごめんなさい、また巻き込んでしまって」
「巻き込まれたとは思っていない。いちいち気にするな」
指で掬い上げるように弄びながら髪を何度も撫でてくれた。
ホッと落ち着く心地よいその感触に、それまで強ばっていた表情が緩んでいくのを感じた。
「・・・・ありがとう遥琉さん」
「だからいちいち言わなくていいから」
むくっと上体を起こすと唇に啄むような口付けをしてくれた。
何気ない優しさが、気遣いがじんわりと身に沁みる。溢れんばかりの彼への感謝の想いで胸がいっぱいになる。
何があっても彼となら乗り越えられる。今までもそうだったし、これからだってきっと乗り越えてみせる。
彼と一緒に、大切な家族と組のみんなを絶対に守るんだ。
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