495 / 3586
番外編 すべては23年前に勃発した内部抗争
お祖父ちゃんと恐らくお義父さん以外、リーさんの正体が成宮さんだとは誰も気が付かなかったみたいで。
まさに青天の霹靂。秦さんをはじめみんな驚いていた。
「公にはしていないが湍水と周は従兄弟同士なんだ。だから、リーに狙われ、いいように利用されたのかもな」
「そんな・・・・」
あまりにも酷すぎる。
湍水さんは今回の件で大切な家族を二人も失い、湍水組も解散に追い込まれた。
「真沙哉もリーに騙されていたことにいい加減気付いたと思う」
「真沙哉さんは、その ・・・」
恐る恐る聞いてみた。
「アイツがそう簡単に死ぬ訳がない。俺や未知、それに琥珀に会いに絶対生きて戻ってくるはずだ」
真一文字に唇を結ぶと二の腕に微かに力が込められたのが分かった。
「目の前に現れたら一発ぶん殴ってやらないと気が済まない。俺の大事な未知や心を好き勝手にしやがって」
眉間に皺を寄せると胸の前で右手をグーに握りプルプルと震わせた。
ただでさえ虫の居所が悪いのに………それを知ってか知らぬか、鳥飼さんが若い衆の皆さんの制止を振り切り僕の目の前に姿を現したものだから、ますます彼の機嫌が悪くなった。
「ちょっ、ちょっと鳥飼さん」
戸惑う僕には一切お構いなし。
音もなく手を捧げ持たれ、指先にそっと口付けをされた。
ともだちにシェアしよう!