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番外編 琥珀さんと鞠家さん
ブンブンと首を横に振って僕の背中に隠れた琥珀さんの手首をむんずと掴むとなかば強引に引っ張り出しそのまま連れていってしまった。
琥珀さんが急にいなくなり今にも泣き出しそうな顔になった遥香に、一太と有紗ちゃんが「あそぼう」って声を掛けてくれた。
「森崎に琥珀と付き合ったらどうだ?って聞いたんだ。そしたら、橘を好きな気持ちは何ら変わらない。好きでもないのに付き合ったらそれこそ琥珀に失礼だろ。そうハッキリと断られた。那奈、心、相手はどこのどいつだ?」
「遥琉のよ~~く知ってる人」
「そう、会ってくれば。たいちゃんは僕がみてるから」
思わせ振りな態度にイラつきながらも太惺を起こさないようにそっと心さんの腕の中に抱っこさせた。
「ほら未知も」
「何で僕まで……」
「琥珀のマーだろ?俺は兄貴分だ。見届けてやるのが当たり前だ」
それはそうかも知れないけど絶対邪魔だから……って聞いてる遥琉さん。
待ってって言っても聞く耳を持ってはくれず、心望を抱っこしたまま腕を掴まれ、客間に連れていかれた。
「何で千里がここにいるんだ」
「茨木さんに立会人を頼まれたの」
「琥珀は?」
千里さんと裕貴さんが縁側を指差した。
「どうしても二人きりにさせてくれって頼まれたんだ」
見ると琥珀さんは男性と並んで縁側に座っていた。初めて見る人だった。
僕と彼に気が付いたのかスーツ姿の男性が後ろを振り返った。
凛々しく釣りあがった黒い眉に、涼しげな目元、高い鼻に、薄く伸びた唇。どこか不思議とオーラのようなものを感じさせる男性だった。
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