506 / 3636

番外編 琥珀さんと鞠家さん

「遥琉さん、待って………」 「だってなかなか二人きりになれないんだぞ。お陰で欲求不満が溜まる一方だ」 後ろで丸くなって熟睡している紗智さんを気にしながら、耳朶やこめかみ、目蓋や鼻先に彼の唇が触れてきた。 「未知は俺が嫌いか?」 今にも泣き出しそうな眼差しで瞳を覗き込まれた。 嫌いな訳がない。ママになっても何ら変わらず愛してくれる。大事にしてくる。そんな彼が大好きだもの。 ブンブンと首を横に振った。 「良かった」 結婚して3年経つのに、毎日彼に恋をして、ときめいて、見詰めただけでドキドキが止まらなくなる。 「愛してるよ未知」 あまりの格好よさに見惚れていたら、彼の顔がぐいぐいと近付いてきて、唇に彼の口唇がゆっくりと重なってきた。 「遥琉さん、ダメって」 彼の手が服の上からお腹の辺りを撫でてきて、指先が服の中に入ってきたから慌てた。 「紗智さん起きちゃうから」 服を手で押さえ首を横に振った。 「何で駄目?」 彼がムスっと面白くなさそうに不貞腐れていると、「うっ……ん」紗智さんがもぞもぞと動きはじめた。

ともだちにシェアしよう!