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番外編 マル暴の男

「颯人お前もそろそろ身を固める時期に来てるんじゃないか」 お祖父ちゃんが福島に帰る前に子供達にどうしても食べさせたいからと、遥香が大好きなホットケーキを作って持ってきてくれた。紗智さんや一太が食べたいとリクエストした特製アップルパイも一緒に。 「それともまだ未知に未練があるのか?」 「・・・・・」 颯人さんはすぐに答えなかった。 「俺に復讐する為にお前は未知を弄んで、利用するだけ利用し、一太に危害を加えようとした。その罪は一生かけても消えるものじゃない。それでもお前は生き恥を晒し、未知の側にいることを選んだ。お前の人生だ、俺がいちいち口を出すことじゃないくらい分かってる。でもな颯人、睦はお前を必要とし、心から慕ってる。純な気持ちを素直に受け入れてやれ」 「父さん・・・・」 お祖父ちゃんに諭され、睦さんの穏やかな寝顔を静かに見詰めた。 「おっきいじぃじだ‼」 「はるちゃんがすきなのだ‼」 美味しそうな匂いにつられて、一太と遥香がバタバタと足音を響かせて元気いっぱいに駆け込んできた。 「一太、遥香、ママと茨木さんの邪魔だから」 二人の後を追い掛けて彼が部屋に入ってきた。 「ちょうどいい。なぁ遥琉」 「へ?」まさか声を掛けられるとは思ってみなかったのだろう。声が裏返っていた。

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