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番外編 マル暴の男

「へ?じゃないだろう。惚けるなよ。睦はヤクザには向いていない。カタギとして一人の男としてどうしたら幸せになれるかって、お前にしては珍しく真面目なことを聞いてくるから何事かと驚いたんだぞ」 「すみません茨木さん」 「謝る必要はない。家族を大事にするくらい組や舎弟達を大事にしてるって事だろう。誰にでも真似出来る事じゃない」 お祖父ちゃんに褒められて、さすがに恥ずかしかったみたいで、ごほんとわざとらしく咳払いをしていた。 「それで結論は出たのか?」 お祖父ちゃんに聞かれて、睦さんと、睦さんにピタリと寄り添う颯人さんに目を遣る彼。しばらく考えたのち静かに口を開いた。 「なぁ颯人、これからは未知や組のためじゃなく、睦のために生きろ。勘違いするなよ、決してお前が邪魔だから言ってるんじゃない」 「………分かってます」颯人さんが小さく頷いた。 「タピオカドリンク店の看板息子だったんだろ?睦。なら、うちのカフェの看板息子にだってなれるだろう。俺のもとで働きたくはないと思うが、どうだ?」 「………」 颯人さんは俯いたまま黙り込んでしまった。

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