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番外編 あなたのことを一生守らせてください

「そろそろ移動しないと乗り遅れるぞ」 裕貴さんがわざわざ呼びに来てくれた。 「鞠家、お前がいるとただてさえ目立つんだ。少しは大人しくしてろ。サツに見付かったらどうするんだ」 「いやぁ~そんなつもりはなかったんだ。悪いな」 ちょっと照れ笑いする鞠家さん。最後まで見送るからと一緒にコーヒーショップを出た。 「じゃあ次はい」 「えっとぉ・・・・・」 改札口の前で笹原さんが太惺を抱っこし、よしよしとあやしながら一太と遥香としりとりをして遊んでくれていた。 心望は護衛の若い舎弟さんがオロオロしながらも落とさないようにしっかりと抱っこしてくれていた。 「すみません」 舎弟さんにすぐ駆け寄った。 「人見知りせずだれにでもニコニコと愛想良くて。まさに天使です。マジで可愛いっす。兄貴のお嬢さんっていうのがいまだに信じられない」 お手手をグーに握り、足をパタパタと動かしてご機嫌の心望。そっと抱っこし頭を撫でるとあーうーと声を出してニコニコの笑顔になった。良かったねみんなに可愛がってもらって。 太惺は笹原さんがよほど気に入ったみたいで、小さな手で服をギュッと掴みなかなか離そうとはしなかった。 「ちょっとたいくん、その人はアタシのダーリンよ」 千里さんの頬っぺが少しだけ膨らんでいた。 「おぃおぃ。うちの息子にまで焼きもちを妬くことないだろう」 「だってぇ・・・・」 面白くないのか不貞腐れる千里さんを心さんが必死で宥めていた。 「新幹線に乗るまでよ。ダーリンを貸してあげるのは。あとは絶対にだめ」 結局最後は千里さんが折れた。

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