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番外編 鞠家さんの正体
「君の帰る場所はリーの所でも真沙哉の所でもない。マーの所だろ?違うか?遥琉と盃を交わした時点で君は、遥琉とマーの子供になったんだ。菱沼組という家族が出来たんだ。もし君がいなくなったら遥香ちゃんや一太が悲しむ。でも2人よりもっと悲しむ人がいる。誰だか分かるか?」
「………マー………俺のいちばん大事なひと……」
自暴自棄になりかけていた紗智さん。
鞠家さんに諭されようやく冷静さを取り戻した。
「マー、俺のマー。甘えさせてくれる、本を読んでくれる、優しくしてくれる。一緒に泣いてくれる。笑ってくれる。世界で一番大好き………」
堰を切ったかのように紗智さんの目蓋から大粒の涙が次から次に溢れた。
「紗智さん」いてもたってもいられず彼に駆け寄った。
「マー、こんな大きな子供迷惑?」
「ううん、迷惑じゃないよ」
「良かった。マーまで泣いてどうするの?」
紗智さんに言われてはじめて泣いていることに気が付いた。
泣き虫なのも一緒だね、顔を見合わせるなりぷぷと同時に吹き出した。
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