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番外編 鞠家さんの正体

あと三十分もしたら裕貴さん達が迎えに来る、伊澤さんに言われ、太惺と心望のオムツを交換して、紗智さんが太惺にミルクを飲ませてくれている間、心望におっぱいを飲ませていた。 「やけに静かだと思わねぇか?」 「不気味な静けさですね」 伊澤さんと鞠家さんの話し声が仕切り越しに聞こえてきた。 「須賀井、いい加減電話に出てやったらどうだ?」 「たまにはお灸を据えた方が彼の為です」 「しかし五分毎に電話を寄越してくるとはな。話しには聞いていたが、ストーカー並のしつこさだな」 「焼きもち妬きはこれだから困るんです」 やれやれとため息をつく鞠家さん。 遥琉さんごめんね。急にいなくなったりして。心配ばかり掛けて・・・・裕貴さんがもうじき迎えに来てくれる。そしたら急いで帰るから一太と遥香と待ってて。 「ストーカー?焼きもち?それ食べるもの?」 今度は紗智さんの声が聞こえてきた。 「はぁ?」 相変わらず天然な紗智さんに、さすがの鞠家さんも返す言葉がないみたい。 ハハハと伊澤さんが声を出して笑いはじめた。 「だって日本語難しい」 「そんなことはない。紗智の日本語すごく上手だ」 「だって浩然が教えてくれたから」 「真沙哉が?」 「うん、それが何かした?」 「へぇ~~そうなんだ」 怪訝そうな鞠家さんの声にドキリとした。遥琉さんも焼きもちを妬いて不機嫌な時に鞠家さんみたいな言い方をするから。紗智さん、鞠家さんの前で他の男性の名前を軽はずみに口にしちゃダメ‼ 彼みたく焼きもちを妬かれて大変なことになるから。

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