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番外編 最愛のあなたを
「なんだかんだといって随分と仲いいじゃねぇか」
「伊澤さん冷やかさないでください」
「冷やかしてねぇぞ。お似合いだって言ってんだよ。お前ら見てると周と基を思い出す」
そういえばお祖父ちゃんとお義父さんと30年来の心友だって言ってたっけ。だから周さんと基さんのことを知ってるんだ。
お腹がいっぱいになったのか、うとうとしはじめた心望を片方の手で支えながらもう片方の手ではだけた胸元を整えた。
「周は、周りの空気を読むのが苦手なヤツだった。口下手で言いたいことが言えず、いつも人の目を気にしてビクビクしていた。基はそんな周を影ながら優しく見守っていた。日本を発つとき、周が他の野郎に色目を使ったと基が焼きもちを妬いて大勢の前で痴話喧嘩を始めた。そしたら播本が、こそこそ隠れずに堂々と喧嘩が出来るって気持ちがいいだろうってあっという間に二人を仲直りさせた。琥珀、お前には播本や卯月がついてる。だからこそこそ隠す必要はない。堂々と須賀井と付き合ったらいいんだ」
仕切りからひょっこり顔だけを出すと、伊澤さんと目が合った。
「未知もそう思うよな?」
同意を求められコクりと頷いた。
太惺は紗智さんの腕の中で機嫌良く笑いながらぱたぱたと元気に手足を動かしていた。
「心望は?寝たのか?」
伊澤さんに聞かれもう一度頷いた。
「そうか、折角寝たのにな・・・・悪いな未知。あとで心望にちゃんと謝るから」
すぐには言葉の意味を理解することが出来ず、何の事だろうと首を傾げていると、伊澤さんが鞠家さんに、僕と紗智さんを連れ、裏口からすぐ外に出るように命じた。
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