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番外編 最愛のあなたを

「何もたもたしてんだ早くしろ‼」伊澤さんに急かされ急いでリュックを背負い、鞠家さんの案内で紗智さんと一緒に厨房の奥にある裏口へと向かった。 そして鞠家さんがドアノブに手を置いた、まさにその時、パンパンと乾いた音が二回鳴り響き、男達の怒声と伊澤さんの怒鳴り声が聞こえてきた。 「未知行くぞ」 思わず立ち止まり後ろを見ていたら、鞠家さんにむんずと腕を掴まれ、店の外に出された。 伊澤さんの言う通り目の前に非常用ドアがあった。重たい扉を開けると、上へと続く螺旋状の階段になっていた。 「裕貴達が迎えに行くまで絶対鍵を開けるな。いいな未知、紗智。相手は九鬼総業だけじゃない、リーの手下も一緒だ。女や赤ん坊に対し一切容赦なし、血も涙もない連中だ」 余裕のない切羽詰まった声は、危険が差し迫った深刻な状況であることを物語っていた。 「鞠家さんは?」 「ここで連中を食い止める。俺のことは心配しなくていいから未知や子供達を守れ」 鞠家さんも拳銃を取り出し、鋭い眼差しで裏口を睨み付けた。

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