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番外編 最愛のあなたを

『未知、サツと九鬼総業の連中がうろうろしていてそこに近寄れない。もう少し辛抱できるか?』 裕貴さんからメールが届いて、 『僕は大丈夫だから、伊澤さんや鞠家さんを先に助けてあげて』すぐに返信をした。すると今度は『マムシは不死身だ。心配無用だ。俺は伊澤や鞠家より未知の方が大事だ』と三十秒も経過しないうちに返信が返ってきた。 それを見た紗智さんが、 「マーごめんね」ぽつりと呟いた。 「こんなに愛されるマーにひどいこと言った。浩然(レオハン)の代わりに謝る」 「紗智さんは何も悪くないよ」 お手手をグーに握り、あどけない寝顔をみせる心望と太惺を交互に眺めた。 「あのね、余計なお世話かも知れないけど………言うか言わないか迷ったんだけれど……」 恥ずかしくて紗智さんの顔をまともに見れず、伏せ目がちに俯いた。 「シェ シェ ニ、マー(ありがとう、ママ)。俺、いつも浩然の情人に焼きもちばかり。だから分かる。鞠家さんの気持ちが本当か知りたかった」 思いがけない紗智さんの言葉に驚いて顔を上げると、 「嘘ついてなかったよ彼。さっきも格好良くて………どうしようドキドキしてる」 くすりと自嘲してから、急に涙目になった。 僕だって格好良くて優しい彼に毎日ドキドキしてるもの。好きで好きで堪らない。 好きっていう気持ちはどんな困難にも立ち向かう勇気を与えてくれるから不思議。 紗智さんだっていつか過去を乗り越えられるよ。僕がそうだったように。 「マー、俺……」 何かを言い掛けた紗智さん。 でもドアを力ずくでも蹴破ろうとするドンドンという音に掻き消されてしまった。

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