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番外編 助けに来てくれた彼

そこへ鞠家さんも息を切らしながら駆け付けてくれた。 「鞠家いったいこれはどういうことだ。ちゃんと説明しろ」 彼が怒りに任せ鞠家さんの胸倉に掴み掛かった。 「未知をさらう真似をして、2ヶ月にも満たないうちの子供達をこんな危険な目に遭わせて。黙ってないで答えろ‼」 鬼の形相でジロリと睨み付けた。 「成宮を捕まえる為にはこうするしか手段がなかった。俺だって辛いんだ。本当は紗智や未知を巻き込みたくなかった」 鞠家さんは反対に落ち着いていた。 「遥琉なら分かってくれるはずだ。大切な人を守るためなら、鬼にでもなんでもなれる。違うか?」 「鞠家、お前・・・・・」 はっとして息を呑む彼。 「この命に代えても稀代の悪党に引導を渡す、それが俺や弟たちを育ててくれた播本さんや卯月さんへの恩返しだ。遥琉、裁判所の許可が下り次第、成宮の関係先に一斉に家宅捜査が入る」 鞠家さんは彼の手をやんわりと振りほどくと、紗智さんに笑顔で歩み寄った。 「ありがとう紗智。君に出会えて、プロポーズが出来て、もう思い残すことはない。遥琉は真沙哉とは違う。君を傷付けることも、利用するだけ利用して捨てることも絶対にない。遥琉や未知のもとで生きろ」 涙を堪え正直に自分の想いを伝えた。

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