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番外編 やっと彼に再会出来たのに・・・・・・
ダーバン(大阪)、ユードウゴン(宇都宮)、ジンジィァン(近江)、リードン(栗東)、ゴンチォン(宮城)…………
マカオや香港、シンガポールの都市に続いて紗智さんが口にしたのは国内の地名だった。
新幹線が福島に着く寸前に速報が流れた。
23年前の殺人やそれ以外の殺人、誘拐、強制性交等致傷並び致死罪、麻薬取締法違反など十以上の罪でリーこと成宮に逮捕状が出た。リーを匿い逃走の手助けをしたとして犯人隠避の罪で関係先に一斉に家宅捜査が入った。
政府与党の大物政治家の別荘や、政財界の重鎮の自宅も含まれているみたいで、居合わせた乗客は一様に驚いていた。
宇賀神組もリーに荷担したとかでサツの手入れを受けていると九条さんから彼のスマホに連絡が入った。
「サツがホームで俺を待っているらしい。なぁに、事情を聞かれるだけだ。安心しろ。紗智、悪いが未知や子供達を連れて後ろの3号車から下りろ。 渡会さんと紫さんが待っててくれているから。サツに目を付けられる前に改札口に向かえ」
「遥琉さんは?」
「俺のことは心配するな。俺は組長として菱沼組を守る責務がある。未知は母親として子供達を守れ。リーがどんな手で報復してくるか分からないんだ。橘や柚原と一刻も早く合流した方が安全だ」
後ろ髪を引かれる思いで泣く泣く彼と別れ、後方の3号車の出口に向かって子供達と紗智さんと一緒に移動をはじめた。
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