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番外編 渡会さん、紫さんありがとう

「ハルちゃん、あぶないからきをつけるんだよ」 一太が遥香の手を握ってくれて。足元に注意しながら仲良くホームに下り立つと、度会さんと紫さんが笑顔で出迎えてくれた。 「お、偉いな。さすがお兄ちゃんだな」 度会さんに褒められてニコニコの笑顔になる一太。ホームを行き交う大勢の捜査員の目が一斉に僕達へと向けられた。 「じろじろ見るんじゃねぇ。孫が怖がるだろう」 遥香を片腕でひょいっと抱き上げて、一太の手を握ると足早にエスカレーターへと 向かった。 「未知さん、紗智さんも」 紫さんに促され捜査員から逃げるように僕達もホームのなかほどにあるエレベーターまで早歩きで向かった。 「姐さんご無事で何より」 若い衆がエレベーターの前で待機してくれていた。 「下で橘さんと兄貴が待ってます。もう少しの辛抱です」 「ありがとう………えっと……」 姐さんは基本組に関わらない。 だからいちいち名前を覚える必要はない。 そう彼に言われたけれど、幹部も若い衆もみんな家族同然。大切にしなきゃ。そう思ったら不思議なもので、自然と名前を覚えることが出来た。でもまだ顔と名前が一致しない人が何人かいて覚束無いけど………… ツンツンと尖った金髪に片耳だけピアスの彼。柚原さんの舎弟さんで名前は確か…… 有坂さん、で間違いないですか?」 「下っ端の見習いなのに………嬉しいです」 まさか名前を呼ばれるとは思ってもみなかったのだろう。目を丸くしてビックリしていた。 決して驚かすつもりはなかったの。 ごめんなさい。軽く頭を下げてからエレベーターに乗り込んだ。 「度会が褒めていたわよ。ちゃんと一人一人名前で呼んで、幹部も部屋住みも分け隔てなく平等に接する、若いのにたいしたもんだってね」

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