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番外編 度会さん紫さんありがとう

エレベーターを下りると遥香がニコニコの笑顔で迎えてくれた。今度は大好きなママたんに抱っこされキャキャと黄色い歓声を上げていた。 一太は度会さんの手をしっかりと握り締め、澄んだ透明な目で、度会さんと柚原さんと立ち話をする捜査員とおぼしき強面の男性をじっと見詰めていた。 「紫さん彼は?」 「あぁ吉崎さんよ。元刑事さん。現役の頃播本さんにえらく世話になったみたいで、度会とも親交があってね、未知さんと子供達の弾よけを二つ返事で引き受けてくれたのよ」 男性は腰を屈めると一太を怖がらせないように笑顔で覗き込んだ。 「おっきいじぃじは好きか?」 「うん!」 「そっか」 「おじちゃんはおっきいじぃじのおともだち?」 「そうだよ。昔、おっきいじぃじに命を救って貰ったんだ。おじちゃんお巡りさんだったのに一太くんのおっきいじぃじに助けて貰ったんだ。だからその恩返しをしに来たんだよ。これからはおじちゃんが一太くんや一太くんのママと妹と弟をこの命に代えても守るからな」 「おじちゃん、いのちはたったひとつしかないんだって。だからだいじにするんだって。パパがいってたよ」 「そうか。一太くんはパパが好きか?」 「うん!このくらいだいすき」 満面の笑みを浮かべ、両手を広げられるだけ広げてみせた。 そんな一太を男性は目を細めて眺めていた。 あどけないその姿になにかを思い出したみたいで、急に涙ぐんだ。

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