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番外編 神隠し
怒気を孕んだ声でリーに、未知をバカにするヤツの味方など出来ない、2度と電話をしてくるな‼そう啖呵を切った七海さん
今まで七海さんが怒った顔をほとんど見たことがなかった鷲崎さん。七海さんが怒りを露にする姿に腰を抜かすほど驚いたと同時に、目くじらを立てる姿が普段とはまた違って可愛らしいくてますます好きになったとのろけて、この非常事態に貴方という人は・・・・・
橘さんと柚原さんにため息をつかれていた。
「外にいる雑魚共には興味がない。奴らは虎の威を借る狐だ。威勢ばかり良くてリーや九鬼がいなければ何も出来ない」
「昇龍会で一番手が付けられないゴンタ(喧嘩早くて硬派な暴れもの)の貴方のことです。凄みをきかせ、脅し付けてあっという間に蹴散らしたのでしょう。もう若くないんですよ。聞いてますか⁉」
ハハハと得意気に鷲崎さんが高笑いしていた。
「遥は自分が息子として育てた直矢をパートナーとして選んだとき覚悟を決めた。直矢や組の足手まといになるなら、生き恥を晒すくらいなら潔く死んだ方がましだってな。橘、悪いが旦那を貸してくれないか?」
「鷲崎さん、敵陣に乗り込むつもりですか?」
橘さんは唇を真一文字に結び、引き締まった表情で鷲崎さんを見詰めた。
「前に一度だけ、遥を九鬼に差し出した事がある。あの時の謝罪がまだなんだ。だからこそ遥を助け出してちゃんと謝りたいんだ」
寝耳に水だったのか、鷲崎さんの言葉を聞いた直矢くんが驚いていた。
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