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番外編 生命(いのち)の線引き
「リーレオラン シャンハイ シォンツンチュェレンジンホウ ドンシィァン ヂュイー つまり、李浩然 上海で生存確認。今後の動向に注意せよ」
「紗智さん大丈夫?」
「俺にはマーや鞠家さんいる。だから大丈夫」
紗智さんは動揺することなく終始落ち着いていた。
酒豪の度会さんに捕まる前にそそくさと宮城に帰っていった鷲崎さんと七海さんを見送ったのち、紗智さんに紙切れをそっと見せた。
「マーを妻としてマカオに連れ帰る、メンバーみな聞いていた。マー狙われるの当然。だから、ウェイヂー リ レオハン チーチー リーヨンスーヂー。つまり、マーは浩然の妻だから利用価値があるって書かれた」
「たく、アイツは何でいつも人のモノを欲しがるんだよ。心といい、咲といい」
すっと長い指が伸びてきて。
紗智さんの手から紙切れを取り上げた。
「俺に内緒事か?」
目は愉しそうに笑っていた。
「そんなんじゃないから」
彼の話では、事務所を取り囲んでいた九鬼総業の二次団体は、近隣の住民から通報を受けた警察が駆け付けるや否や蜘蛛の子を散らすようにあっという間にいなくなった。
「まぁ、今回の強制捜査で少しは大人しくなるんじゃないか。いつも通りの生活という訳にはいかないが、子供達の前では普段通りに振る舞ってあげよう。ほら、未知も紗智も。朝から何も食べてないだろう。橘と紫さんが腕によりをかけて昼御飯作ってくれたら一緒に食べよう。未知は特に………」
彼の視線が何気に胸へと向けられた。
「もう、遥琉さんのエッチ」
真っ赤になりながら思わず胸元を手で覆った。
それを見ていた紗智さんがププッと堪えきれずに吹き出した。
「マーと兄貴仲がいい。五人目の意味やっと分かった」
「紗智さんまで」
「一太もハルちゃんも妹欲しがってた」
恥ずかしくてどこを見ていいか分からなくて。身の置き場に困り果ててしまった。
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