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番外編 琥珀さんとマーナオさん
「喧しい‼お前ら喧嘩するなら外でやれ‼」
真沙哉さんのドスのきいた怒鳴り声が部屋中に響き渡った。
びくっと一太の体が小さく震えて。今にも泣きそうな顔になった。
「赤ん坊が寝ているんだ。少しくらい静かに出来んのか」
真沙哉さんが一太に大きい声を出して悪かったな。そう謝りながら頭を撫でてくれた。
「マーナオ、ところで琥珀って誰だ⁉」
「知らな~い」
ぷいっとそっぽを向くとそのまま部屋を出ていってしまった。
「ダオレン」
真沙哉さんが声を掛けたけど、言葉が返ってくることはなかった。
紗智さんは身を焦がすほど真沙哉さんを一途に愛していた。
それなのに紗智さんのことを忘れているなんて・・・・・ショックのあまり愕然となってしまった。
「目の敵にしていた琥珀いなくなりマーナオ、浩然《レオハン》独り占め出来ると思った」
厨房で一太に手伝って貰い洗い物を片付けていたらダオレンさんの方から声を掛けられた。
「でも浩然には妻子がいた。マーナオ、焼きもち妬いて浩然を責めた」
ベビーカーの前でしゃがみこむと、お手手を万歳し熟睡する太惺と心望を目を細めて覗き込んだ。
「地竜、マーナオに言った。そんなに浩然を独り占めしたいならすればいい。妻子は俺が貰い受ける。それなら文句ないだろう。未知、余計なお世話かも知れないが、浩然捨てて地竜と一緒になれ。その方がこの子達の為だ」
「ダオレンさん、僕には・・・・・この世で一番大好きな夫が・・・・・遥琉さんがいるんです。娘の遥香だって、僕の帰りを首を長くして待っててくれている」
正直に言うべきか迷ったけれど、嘘をつきたくなかった。真沙哉さんが覚えていた記憶自体が間違っているんだもの。
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