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番外編僕がこうして生きてこれたのはみんなのお陰。だから、今度は僕がみんなを守る

「ここにいたんだ。地竜の部屋に行ってもいなかったら。心配したんだぞ」 真沙哉さんが車椅子を押しながら姿を現した。 「あの…………」 「未知、浩然と部屋に戻れ」 余計なことは言うなとばかりにダオレンさんにジロリと睨み付けられた。 「浩然、地竜からだ。青蛇の残党がここを襲うかも知れない。警備を強化する」 「ダオレン、未知や子供達を安全な場所に移したい。駄目か?」 「地竜の許可がいる」 「そんな悠長なことを言っている場合じゃないだろう」 「リーダーは地竜だ。浩然、お前じゃない」 ダオレンさんが眉一つ動かさず淡々と答えると、彼の手下の男達がすごみをきかせ真沙哉さんを無言で取り囲んだ。 「・・・・・分かったよ。未知、先に部屋に戻ってるから早くおいで」 どう抗っても勝ち目がないと判断したのか、真沙哉さんは大人しく部屋に戻っていった。 「あのさぁ。あんまりいい気にならない方がいいんじゃないの?」 入れ違いに今度はマーナオさんが姿を見せた。お風呂上がりなのかバスローブを羽織り、濡れた髪をタオルで拭きながら怠そうに何度も欠伸をしていた。 「地竜は歯向かう者には一切容赦しない。お前が一番分かるハズだ」 「その台詞聞き飽きた」 「はぁ?」 また喧嘩を始めた二人。一瞬で険悪なムードに包まれた。それを見ていた一太が、 「けんかはだめでしょ」 握っていたお玉をブンブンと振り回し二人の間に割り込んだ。 「たいくんとここちゃん、ねんねしているんだよ。だから、けんめはめっ!」 「五月蝿い、黙れ」 マーナオさんが忌々しいとばかりに吐き捨てた。 ダオレンさんは、マーナオさんをチラッと一瞥すると「お前の方こそ黙れ」と語気を強め負けじと言い返した。

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