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番外編 僕がこうして生きてこれたのはみんなのお陰。だから、今度は僕がみんなを守る

すやすやと穏やかな寝音を立てて眠る真沙哉さん。昼夜逆転の生活なのか、お昼ご飯を食べるとすぐにベットにゴロンと横になり5分も経過しないうちに眠ってしまった。 子供たちもみんな仲良くお昼寝中。 マーナオさんも恐らく寝ているのかな?かれこれ一時間近く姿を見せていない。 ダオレンさんは十五分毎に様子を見に来るものの、それ以外は建物内を忙しく動き回っているのか姿を見せなかった。 今がラストチャンスかも知れない。 枕元に転がっているスマホに自然と目がいった。 彼に伝えなきゃ。 菱沼組がリーさんに襲われるって。 紗智さんが狙われているって。 家族の中で厄介者だった僕を゛家族゛として温かく迎えてくれたのは彼や橘さん。 明日さえ見えない苦しい生活に光をあてて、生きる希望を与えてくれたのはお祖父ちゃんや秦さん。 こうして生きていられるのは裕貴さんや心さん、それに千里さんや笹原さん、龍一家や菱沼組のみんなが支えてくれたから。 僕はどうなっても構わない。 彼や遥香や橘さんや柚原さん。 菱沼組のみんなを守らなきゃ。 それが世話になったみんなへのせめての恩返しになるならそれでいい。 気が付けばスマホを手にして夢中で釦を押していた。 彼がたとえ電話に出れなくても、彼の近くには橘さんや柚原さんがいる。遥香もスマホを弄るのが大好きだからもしかしたら着信音に気付いてくれるかも知れない。 こうなったら一か八か。あとは運に任せるしかない。 何度か着信音が鳴り、 『はぁ~~い、ハルちゃんだよ。パパ、でんわだよ~~!』 いつもと何ら変わらず明るく元気一杯の遥香の声に思わず涙が溢れた。 良かった元気で……… ごめんね寂しい想いをさせて………

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