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番外編 マーナオさんありがとう
「ボクねアンタが嫌い。というか大嫌い。顔も見たくない。ガキも生意気で嫌い。でもね……」
そこで言葉を止めると、恥ずかしそうに顔を逸らしわざとらしく咳払いをした。
「ありがとうは言わないよ。でもね、ボクと浩然のことを真っ先に頼んでくれたでしょ。だからね、嬉しかった」
苦々しい表情を浮かべるダオレンさんに真沙哉さんとマーナオさんが何度も頭を下げてくれた。
「見逃してやるから、早く行け。地竜はストーカー並みに執念深い。彼から逃げ切れるとは決して思うなよ」
渋々ながら最後はダオレンさんが折れてくれて。念を押すように二度、三度と同じことを忠告された。
「未知、子供達起こして」
「一太起きるんだ。ママとうちに帰るんだ」
真沙哉さんに一太を起こして貰っている間、ねんねしている太惺と心望を起こさないように静かにベビーカーにそっと寝せた。
「事務所の奥から外に出れる」
マーナオさんに連れられエレベーターで一階に下りると辺りを警戒しながら鍵を開けてくれた。
「外でタクシー待たせてある。これタクシー代」
一万円札を二枚手渡された。
「これで逃げられるところまで逃げて。あとは、はるっていう旦那さんに迎えに来てもらった方がいいよ」
「マーナオさん」思わずその手を握りしめた。
「僕達を逃がしたのがバレたら、マーナオさんや真沙哉さんだって・・・・」
「未知は本当に優しいね。大丈夫だよ。ボクも浩然も生き地獄の様な人生を生きてきたから。だから覚悟は出来ている。だってね、浩然の側にいれるだけで幸せだもの」
鼻を啜りながらも白い歯を見せてくれた。そのあとすぐベビーカーごと身体を中に押し込まれた。
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