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番外編 裏切ることは絶体に許さない

「一太、ママ達を頼むね」 「うん‼」 寝起きとは思えないくらい元気な声がしんと静まり返る事務所内に響いた。 「未知、ダオレンの言う通り。地竜、かなりしつこい。気を付けて」 「マーナオさんありがとう。真沙哉さんをお願いします」 「頼まれなくても分かってる」 事務所を横切り奥のドアを恐る恐る開けるとタクシーが横付けされてあった。 ベビーカーをトランクに入れてもらい、行き先を告げ、急いで乗り込んだ。 見慣れない景色が車窓の外に広がっていた。一太もきっと不安で胸がいっぱいなはずなのに、健気にも笑顔で心望と太惺の面倒をみてくれていた。 運転手さんにここが何処か聞くと、家があるK市から高速で一時間ほどの距離にある県庁所在地の福島市内だと教えて貰った。 高速道路に入る前に、国道沿いに建つコンビニに寄って貰った。「いちたおつかいできる」頼もしい一言に、オムツと自分が飲みたい飲み物と、運転手さんにあげる缶コーヒーを頼んだ。 「わかった。いってくるね」 ポケットにたまたま入っていた五百円二枚を、落とさないよう小さい手でしっかりと握り締め意気揚々と店内に入っていった。 「ママただいま」 五分とかからずレジ袋を下げて一太が戻ってきた。 「おじちゃんどーぞ」 缶コーヒーを笑顔で運転手さんに差し出すと、運転手さんも思いがけない差し入れに驚きながらもニコニコの笑顔で受け取ってくれた。 駐車場を出ようとしたタクシーの前にセダンタイプの黒い車が二台、進路を塞ぐように急停車した。ぶつかりそうになり運転手さんも慌てて急ブレーキを掛けた。 車から強面の東洋人の男達が一斉に下りてきて、あっという間に囲まれた。

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