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番外編 裏切ることは絶対に許さない

「未知、あと2時後にここを出発し上海に向かう。それまで荷物を纏めておけ」 あやしながら心望をベビーベッドに寝せると地竜さんの声色と顔の表情が一変した。 「山形(ここ)は昇龍会と敵対するかつて九鬼総業の直参だった阪井組の縄張りだ。ここならバレないだろうと安心していたんだが…………」 そこで言葉を一旦止めると、しかめ面になり唇が白くなるまでぎゅっと噛んだ。 「ママ、いちたたちこれからどうなるの?」 ダオレンさんにリュックを渡され用意して貰ったオムツやミルク、着替えを急いで入れるように指示された。 言われた通りに準備をしていたら、一太に声を掛けられた。 澄んだ大きな瞳が不安げに震えていた。 「パパやお祖父ちゃんがきっと助けに来てくれるよ」 「ほんとに⁉」 「うん」一太を元気付ける為、わざと明るく振る舞った。 あのあと、地竜さんが手下の男達を集めリビングに怒鳴り散らしていたから。 誰だ阪井組にチクったのは。さっさと名乗り出ろ!って。 もしかしたらタクシーの運転手さんの知り合いの方が昇龍会の幹部の方とも、阪井組の幹部の方とも顔見知りだったのかも知れない。 でも一体誰何だろう? お祖父ちゃん?秦さん? それとも裕貴さん?笹原さん? それとも・・・・・・ 「未知用意は出来たか?」 バタンとドアが荒々しく開いて。 ハイブランドのブラックのスーツに着替えた地竜さんが入ってきた。 「どうやら阪井組が嗅ぎ付けたようだ。乗り込んでくる前に出発する。早くしろ」 「地竜、上の指示は絶対だ。お前が出来ないなら俺がやる」 昨夜地竜さんに噛み付いた幹部の男がナイフを手にどかどかと入ってきて、脇目も振らず真っ直ぐベビーベッドに向かってきた。

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