592 / 3560

番外編 思いがけない再会

「千里さんありが……ーー」 ほっと安心する懐かしい匂いと温もりに包まれて。 嬉しくて、嬉しくて。 最後は涙に飲まれうまく言葉を繋ぐことが出来なかった。 「今生今世永远爱你」 (生きている限り永遠に君を愛すよ) 部屋を出ていくとき地竜さんが中国語でそう口にした。 「未知、我爱你」 (未知愛している) 意味が分からず首を傾げて思わず立ち止まった僕に柔らかく微笑み掛けてくれた。 「未知行くわよ~~」 太惺を抱っこしてくれた千里さんに声を掛けられて、慌ててあとを追いかけた。 心望は僕の腕の中で機嫌よくニコニコと笑っていた。 パパやじいじが待ってるよ。 やっとおうちに帰れるね。優しく娘に声を掛けた。 「未知、良かった無事で」 廊下に出ると鳥飼さんや若い衆のみんなが出迎えてくれた。ピリピリと張り詰めていた空気が一気に緩んだ。 「鳥飼さん、みんなありがとう」 ペコッと頭を下げると、 「姐さんを守るのが俺ら弾よけの役目。当たり前の事をしているだけだ。だから、その、いちいち礼を言う必要はないからな」 恥ずかしいのかわざとらしく咳払いすると顔を逸らした。 エレベーターに乗り込み一階に向かうと、大勢の舎弟を従えた彼とお祖父ちゃんが笑顔で出迎えてくれた。 はじめて見る初老の男性も一緒だった。 一太も大好きなパパやお祖父ちゃんの姿を見付け、緊張の糸が切れたのか、わんわん大声で泣きながら彼の胸元に勢いよく飛び込んでいった。 「良かった、無事で………本当に良かった………」 片腕で一太を抱き上げてくれた彼の目にも大粒の涙が溢れていた「男が泣くなんてみっともないな」そう口にしながら………

ともだちにシェアしよう!