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番外編 それぞれの愛のかたち
「あれのりたい」
一太はメリーゴーランドを指差すと、那和さんの手をむんずと掴んだ。
「りょうにいにもだよ」
「俺?」
まさか指名されるとは思ってもみなかったのだろう。驚く柚原さんの手を握ると、二人を引っ張っていった。
「俺は優璃とデートをしたいんだ。一太にはパパがいるだろう、パパが」
「いちたがきらいなの?」
「な訳ないだろう」
「じゃあいこう。なおさんも」
一太のあどけない笑顔に、さすがの柚原さんも嫌だとは言えなかったみたいで。三人で仲良く手を繋ぎメリーゴーランドに向かった。
「私達もデートをしますか?」
「はぁ?」
予想もしていなかった橘さんのまさかの発言に、思わずすっとんきょうな声を漏らす彼。
「冗談ですよ」
くすりと苦笑いし、すっーと手を伸ばすと遠慮がちに彼の手の甲に自分の手を絡めた。
「おぃ橘!」
「私だってあなたとこうして手を繋ぎたかったんですよ。なのにあなたは…………未知さん、少し借りますね」
橘さんはニコッと微笑みと、一太達のあとを追い掛けた。
柚原さん焼きもちを妬いて大変なことにならないといいんだけれど………
「みんな賑やかだね」
ベビーカーの中ですやすやと眠る太惺の様子をみながら、おんぶひもで前に抱っこした心望の顔をそぉーと覗き込み話し掛けた。
「ママと座って待ってようか」
心望の額の汗をタオルで拭きながら近くのベンチに腰をおろした。
「隣……………空いてますか?」
それから数分後、聞き覚えのある男性の声が聞こえてきて。
吃驚して顔をあげた。
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