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番外編 それぞれの愛のかたち

「黒竜には俺を含め四人の竜がいる。組織に深く関わりすぎた琥珀とマーナオを抹殺する為なら、やつらは手段を選ばないだろうよ」 ニヤリと広角を上げると、ベンチからゆっくり立ち上がった。 「須賀井、卯月、近いうちにまた会うことになるだろう。それまで首を洗って待ってろ」 捨て台詞を残し、人混みに紛れ風のようにいなくなった。 「俺のせいだ。ごめんマー」 「ボクも悪い」 しゅんとして項垂れる紗智さんと那和さん。 「僕には彼や、橘さん、それに組のみんながいるから大丈夫」 二人を何とか元気付けようとわざと明るく振る舞った。 地竜さんが言っていた黒竜の4人の竜が誰か、紗智さんと那和さんが教えてくれた。 知謀に長けたリーダーの紫竜(ズーノン)。 天才ハッカーの白竜(バイノン)。 3つの裏の顔をもつトレーダーの緑竜(リュノン)。 そして日本とシンガポール、二つの国籍を持つナンバー2の地竜(ディノン)さん。 「誰も悪くない。だからそう落ち込むな。なるようにしかならないだろう」 「遥琉の言う通りだ」 彼も鞠家さんも覚悟を決め、腹を括っているようだった。 「未知も紗智も那和も絶対に最後まで守り抜いてみせる。なぁ、橘、鞠家、柚原」 「そうですよ」 「あぁ」 「当たり前だ」 三人とも相槌を打った。 「デートの続きをしようか紗智」 鞠家さんがすっと歩み寄り手をそっと絡め、恋人繋ぎした。 「ま、鞠家さん!」紗智さんの顔が茹でタコのように真っ赤になった。

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