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番外編 それぞれの愛のかたち

「紗智、高行だ。俺の名前は………夫夫(ふうふ)になるんだ。いい加減名前で呼んで欲しいな」 「え、そ、そんな…………」 紗智さんの顔がますます朱色に染まった。 「さっちゃん、おねつでもあるの?だいじょうぶ?」 一太が心配そうに顔を覗き込んだ。 「だ、大丈夫だから・・・・・」 慌てて首を横に振った。そんな紗智さんを見た遥香が「さっちゃん、かぁいい‼」と歓声を上げると、 「やだもうハルちゃんまで」 手で顔を扇ぎながら照れまくっていた。 それから1ヶ月後ーー 鞠家さんは紗智さんと市内のチャペルで結婚式を挙げることになった。 参列したのは僕達家族と、二人を引き合わせたお祖父ちゃん。そしてーー 「いやぁ~~ん、もう可愛い!」 一際甲高い声がチャペル内に響き渡っていた。そう千里さんと心さんが、二人を祝福するため駆け付けてくれたのだ。 「鞠家にはもったいない!」 「中年のオッサンだよ。本当にいいの?後悔していない?」 二人の容赦ない質問攻めに、耳まで真っ赤にしたじたじになる紗智さん。 純白のタキシードは、鞠家さんが香港にいる知り合いに頼み、式に間に合うように大急ぎで仕立てて貰ったものだ。 一生で一度しか袖を通さないものだから中国(ふるさと)で仕立てたタキシードを着せてあげたいと、鞠家さんなりの想いが込められていた。

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