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番外編 それぞれの愛のかたち
「紗智、未知、そろそろ式が始まるぞ」
太惺を抱っこした鞠家さんが紗智さんを呼びに来た。
いつも構ってくれる鞠家さんのことが分かるのか、顔を見るなり小さな腕を懸命に伸ばし、あぅ~~と抱っこをせがんだ太惺。無下にも断ることが出来なくて。紗智に焼きもちを妬かれるから少しだけな、そう言いながらも嬉しそうに抱き上げてくれた。
「ままたんがおいでって」
太惺を離そうとしたら白いネクタイにしがみつきギャン泣きされて、鞠家さんほとほと困り果てていた。
そして……
厳かな雰囲気の中二人の結婚式がはじまった。
太惺と心望。お願いだから、橘さんと彼の腕の中でお利口さんにしててね。一太と遥香も千里さんとお祖父ちゃんの言うことを聞いてお利口さんにしててね。
僕は、というと紗智さんと腕を組み重厚な扉の前に立っていた。
彼のマー(母)としてバージンロードを一緒に歩くために・・・・
まさかこんな形で二度も歩くことになろうとは、人生何があるか分からない。
スタッフの方がドアノブに手を置いたときだった。
「いいのかな俺・・・・・」
悲しげに顔を曇らせ紗智さんがぽつりと呟いたのは。
「俺、たくさんの人傷付けた。悪いことした。マーやハルちゃん拐うの加担した。それなのに、マーやハルちゃん、一太くん、橘さん、兄貴………みんな、みんな優しくしてくれる。これは夢じゃないかって何度思ったか……マー、いいのかなこんな俺、幸せになっても……神様許してくれると思う?」
紗智さんの瞼から涙が次から次に零れ落ちた。
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