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番外編 それぞれの愛のかたち
「許すも何も………」
紗智さんを励ますつもりが、逆に感極まり僕まで一緒に泣いていた。
「紗智さんのいいところ、いっぱいある。勉強熱心で、思いやりがあって、自分のことはいつも後回しで………僕と遥琉さんの、大切な………自慢の息子だもの。だからこそ鞠家さんと幸せになって欲しい」
「マー、出会ってくれてありがとう。俺のマーになってくれてありがとう。俺、鞠家さんと幸せになる。マーみたいな家庭作る。だからもう泣かないで」
しゃくりあげながら鼻を啜りながら紗智さんが瞼の縁を指でそっと拭ってくれた。
「泣き虫なのマーと一緒」
「だって親子だもの」
「それもそうだね」
お互い顔を見合せるとヒマワリみたいな笑顔の花が咲いた。
スタッフの方が両開きの扉を左右に静かに開けてくれた。
涙を拭いて、すぅーーとひとつ深呼吸して。
紗智さんをリードしながら、バージンロードをゆっくりと、一歩ずつ踏みしめるように歩き始めた。
温かな拍手を受けながら祭壇で待つ鞠家さんのもとへと向かった。
その鞠家さんもなぜか紗智さん同様、左手にウェディングブーケを持ち右手を添えていた。
「紗智、未知と少し待っててくれないか?どうしてもこれを渡したい人がいるんだ」
にっこりと微笑み掛けると、参列者の方に目を向けた。
「彼は、俺達を引き合わせてくれた大切な恩人だ。俺達だけ式を挙げる訳にはいかない」
声を詰まらせながらもそう口にするとゆっくりと歩き始めた。
涙を全力で堪えながら真っ直ぐ向かった先は………
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