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番外編 閨怨

「未知さんにくれぐれも無理をさせないように。いいですね。もし何かあれば………」 「すぐに病院に連絡します」 「分かっているならいいです」 太惺と心望の時も南先生に頭を下げてばかりいた彼。 どうやら竹を割ったような性格が那奈姉さんにそっくりで先生を前にすると、どうも調子が狂うみたいだった。 はぁ~~ 会計を待つ間、神妙な面持ちでため息ばかりついていた彼。 声を掛けるべきか、そっとしておくべきかかなり悩んでいたら「どうした?」何気に目が合って彼の方から声を掛けてくれた。 「何かあったのかなって………」 おっかなびっくり聞き返した。 「あぁ」彼が思い出したように笑いながらスマホの画面を見せてくれた。 「さっき心からメールが来た」 そこには『普通さぁ、いの一番に伝えるの僕と裕貴にじゃないの?未知が可愛くて可愛くて仕方ないの分かるよ。一人占めしたいのも分かるよ。でも、未知は僕とは裕貴の大事な妹。一人占めするなんて100年早いから!』文章の終わりには怒りを現す絵文字がびっしりと並んでいた。 「裕貴は勘がいいからな。親父に電話を掛けたただけで、未知が妊娠したんじゃないか、すぐにピンと来たらしい」 「じゃあもう………」 「那奈と千里からも、何で真っ先に言ってくれなかったのって、抗議の電話が来た」 箝口令を敷く前に、昨日の夜のうちにあっという間に広がったみたいだった。 福井さんは勿論、鷲崎さんの耳にも入ったみたいで、朝から彼のスマホは鳴りっぱなしだったみたい。

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