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番外編 閨怨

「みんな、未知のことになると人が変わるからな。少し過保護過ぎるんだ。そんなに心配しなくても、俺にだって、未知の世話や子守りくらい出来るのに………橘がいなければ何も出来ない、そうはなから決めつけなくてもいいのにな………」 彼のため息の原因がようやく分かって、思わずぷぷっと吹き出したら、ムスッとして睨まれてしまった。 決して悪気があった訳じゃないの。ごめんなさい。エヘヘ笑って誤魔化した。 「誰だ今度は」 会計を済ませ外に出た時だった。彼のスマホがブルブルと振動したのは。 「遥琉………さん?」 画面を怪訝そうに覗き込む彼に思わず声を掛けた。 「ここ数日知らない番号からしょっちゅう電話が掛かってくるんだ。未知、車の中を念の為確認してくる。ここで待ってろ」 出入口の前に駐車した車に駆け寄ると、鋭い目付きで中を目視し、それからドアを静かに開けると、変わったことがないか運転席から順に確認して回った。 彼を待っている間、キョロキョロして回りの景色を眺めていたら、日傘を差した女性がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。 その女性は、顔を隠すように真っ白な帽子を深く被り、グレーの長袖の小花柄のワンピースを着ていた。 ………あれ………? このワンピース、どこかで見たような……… 頭の片隅に微かに残る記憶を必死で手繰り寄せた。

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