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番外編 閨怨
「妻が妻なら亭主も亭主よね。リーを地竜に売り飛ばしておいて、マーナオだけは助けた。彼は誰とでも寝る尻軽女よ…………どうだったマーナオは?寝たんでしょう?」
ゲラゲラと彼をバカにするように高笑いする彩さんに、彼は何も言わず哀れむような眼差しを向けた。
「未知、何があっても絶対に俺から離れるなよ」
気付けば人相の悪い男達にぐるりと取り囲まれていた。みな殺気立ち鼻息も荒くジロリと睨まれた。
「お前達、コイツはマーナオと共謀し、地竜を色仕掛けで騙しリーを殺させた。コイツは私たちの仇だ、殺せ」
彩さんが日本語に続き、流暢な中国語で男達に命じた。
「人が黙っていることをいいことに、好き勝手なことを言わないでくれる」
あっ、この声。
那和さんのだ。でも何で?
橘さんと東京に向かったはずなのに………
自動ドアが開くと同時に那和さんが中からぬっと姿を現したものだから、腰を抜かすくらい驚いた。
「手配書が回ってるの知らないの?マーの命を確実に狙ってくるのくらい、馬鹿でも分かるから」
「マー?こいつが?」
アハハと彩さんが声をあげて笑った。
「ねぇおばさん。いい加減若作りするの止めたら?」
「は?誰がおばさんだって?李に捨てられたお前にだけは言われたくない」
「李の寵愛を一身に受けるために、整形を何度も繰り返し、体を弄ってさぁ………少しは千里を見習ったら?千里の方がおばさんより何百倍も綺麗だから」
「千里、千里って五月蝿いんだよ。オカマのストリッパーと一緒にするな‼」
吐き捨てると日傘を放り投げて、帽子を脱ぎ捨てた。
露になったその顔は………
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