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番外編 閨怨
「ハチとタマとは同期なんだ」
ハチと呼ばれている刑事さんの名前が蜂谷さん。タマと呼ばれている刑事さんの名前が玉井さんだと教えて貰った。二人ともマル暴の刑事さんみたいだった。
「しゃあないな」
くしゃくしゃと指で髪を掻きながら、妊婦に無理をさせるわけにはいかないからと、渋々ながらも鞠家さんの提案を受け入れてくれた。
橘さんと那和さん、それに迎えに来てくれた鳥飼さんに守られながら、通用口から外に出て、横付けされていた車に乗り込んだ。
ここからだと駐車場が建物の影になっていて全く見えなかった。
本音をいうと、彩さんとちゃんと向き合い話しをしたかった。過去に囚われたままの彼女を、復讐という名の暗闇から助けてあげたかった。
ごめんなさい彩さん。
帰省したときは、必ず買い物に連れていってくれて好きな物を買ってくれた。食事にも連れていってくれた。一人っ子だったから弟が出来てすごく嬉しいの。そう言って、実の弟のように可愛がってくれたあなたを、僕は暗闇から助けることが出来なかった。
恩知らずな僕をどうか許してください。
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