643 / 3577
誰よりも君を愛していると言ったはずだ
「未知さん、私も紗智さんも那和さんも、巻き込まれたなんて一切思ってませんよ。だからそんなに自分を卑下しないでください」
「そうだよマー」
橘さんと紗智さんに励まして貰い、その上、
「ママ、いちたもね、おともだちがたくさんできてたのしい‼かずえさんも、そういちおじちゃんもやさしいから、だいすき‼」
一太にもそんなことを言われてしまった。
かずえさんっていうのが、蜂谷さんのお母さんの和江さんのことで、そういちおじちゃんというのが、蜂谷さんのお父さんの惣一郎さん。
偶然にもお義父さんと同い年。元警察官で、退職後、ここに移住し和江さんとペンションをはじめた。
「ママも一太と同じ。和江さんと、惣一郎さんが好きだよ」一太の頭を撫でていたら、エプロン姿の那和さんが、太惺と心望が起きたよって呼びに来てくれた。
真沙哉さんが出所したら、美味しい手料理をたくさん作って、たくさん食べて貰うんだ。いままでろくに包丁を持ったことがなかった那和さん。和江さんに一つ一つ、基本のきから教えて貰いながら、真沙哉さんのために一生懸命頑張っている。
急ぎ足で部屋に戻ると、その惣一郎さんが心望を背中におんぶし、わんわんと大声で泣く太惺をだっこし懸命にあやしていた。
「ごめんな、顔が怖いのは元々なんだ。頼むから泣かないでくれ」
久し振りの赤ちゃんの子守りということで誰よりも一番張り切っている。
ともだちにシェアしよう!