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番外編 君を、誰よりも愛していると言ったはずだ

朝ご飯をもりもりと食べて、和江さんが焼いてくれた食パンをご近所さんへ届けた帰り、遥香が何かを見付け急に走り出した。 「待って遥香‼」 良かった太惺と心望を橘さん達に頼んで来て…… 慌てて追い掛けようとしたら、 「体を大事にしないと駄目だろう」 背後から聞き覚えのある鋭い声が聞こえてきて、グイッと腕を掴まれた。 「俺が追い掛ける。お前はここにいろ」 突如として現れた彼に吃驚し、一瞬何が起きているのか分からなかった。 「危ない‼」道路に飛び出そうとした遥香を寸でのところで止めると、片腕で軽々と抱き上げてくれた。 「かめしゃん」 「かめ?」 遥香が指を差した方に視線を向けると、アスファルトの上をてのひらサイズの小さな亀がよちよちと歩いて横切っていた。 「亀を助けてあげようとしたんだな。偉いな。でもな、道路に飛び出して、もしも車が来たら、大好きなママと、ママたんにはもう2度と会えなくなるんだぞ」 「ごめんなしゃい」 しゅんとして項垂れた遥香を、 「分かればいい」 彼は笑顔で撫でてくれた。 「(ファン)」 名前を呼ぶと、もう一人の男性が物陰からすっと音もなく現れた。 顔色一つ変えず亀に歩み寄るとしゃがみ込み両手で捕まえた。 「池に返してやれ。俺は未知に話しがある」 男性と目が合うなり、一瞬睨まれた。 嫌悪感を露にしながら何かを口にすると、鼻先でバかにするようにくすりと笑われた。

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