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番外編 君を、誰よりも愛していると言ったはずだ

「未知!遥香!」竹刀を手に惣一郎さんが物凄い勢いで走って来た。 「君のお義父さんや、お祖父ちゃん、それに彼……君の回りにいる年寄りはみんな元気だな。一人では太刀打ち出来ないくらいみんな強いし……大人しく退散するか」 やれやれとため息をつきながら遥香を下に下ろしてくれた。 「ママやママたんの言うことを聞いてお利口さんにするんだぞ」 前屈みになり笑顔で遥香の顔を覗き込むと頭を撫でてくれた。 「お前は確か………黒竜の………未知と遥香からすぐに離れろ!」 惣一郎さんは竹刀を構えると、地竜さんを鋭い眼差しで睨み付けた。 「そんなに怖い顔をするな。遥香が怯えて泣くだろう」 「遥香も一太と一緒で肝が座っている。そう簡単には泣かない強い子だ」 「そうだったな」 地竜さんが余裕の笑みを浮かべた。 「黄、間違っても撃つなよ。紫竜らに未知の居場所がばれる」 キョロキョロと辺りを見回したけれど、男性の姿はどこにも見当たらなかった。 「黄……?」惣一郎さんが一瞬首を傾げた。 「もしかして、柚原の好敵手(ライバル)だった黄 角(ファン ジヤオ)か?リーとスカルを狙撃し国際指名手配されている、あの黄か?」 「随分と詳しいんだな。元マル暴で、警察学校の鬼教官だっただけはあるな」 鼻でクスッと笑うと、竹刀を手でやんわりと払い除けた。 「未知さん、ハルちゃん!」異変に気付いた橘さんが駆け付けてくれた。 「地竜さん、尊さんをどうするつもりですか?」 「さぁな、俺は知らない」 ぷいと顔を逸らすと、道路を横切り、対抗車線の白線上にいつの間にか停車していた黒い車に乗り込んでいった。

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