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番外編 忍び寄るズーノンの影
「マー良かった無事で」
「怪我は?地竜に変なことされなかった?」
家に帰ると和江さんと一緒に太惺と心望の面倒をみてくれていた紗智さんと那和さんが駆け寄ってくれた。
「心配を掛けてごめんなさい。あのね、那和さん………」
地竜 さんといた彼から何か分かるかも知れない。
手に握り締めていた腕輪を見せ、事情を話した。
「中を見て」
「中?」
言われ通り腕輪の内側を覗き込んでみた。
中国語なのかな?微妙に日本語じゃないからよく分からない。
「地竜から、愛人 へーーそう書いてある。地竜も同じのを身に付けているはず」
地竜さんが言ってたことは本当だったんだ。
「紫竜 は用心深い。警戒心も強い。命を常に狙われているから何人もの護衛と影武者がいる。幹部しか本当の顔を知らない。危険な男」
「その危険な男から未知さんを守るためならやむを得ないですね。焼きもち妬きの亭主を説得するとしますか」
橘さんがやれやれとため息をつきながらスマホの画面を操作した。
それからすぐに着信が鳴り響いた。
『どういうつもりだ橘』
「だからメールに書いた通りです」
『未知は俺の妻だ。地竜の愛人 だと?ふざけるな!』
受話器の向こう側にいる彼は当然ながら、烈火の如く怒り狂っていた。そんな彼を必死で宥める鳥飼さんと根岸さんの声も漏れ聞こえていた。
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