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番外編 暗澹
それから5分も経たずに彼が駆け付けてくれた。
「何度も危ない目にあわせてすまない」
会うなり申し訳なさそうに平謝りされた。
「那和さんと鳥飼さんが側にいてくれたから……あのね遥琉さん……」
また無関係な人を巻き込んでしまった。
「悪いのは僕だよ」おずおずと口を開くと、
「未知のせいじゃない」
「僕がちゃんと鳥飼さんに言っておけば……」
なおも言い募ると、
「未知は悪くない。だから気にするな」
ニコッと優しく微笑み掛けられた。
「蜂谷と玉井がこっちに向かっている。あとのことは2人に任せて、病院に行こう」
彼に促され那和さんと後部座席に乗り込んだ。てっきり鳥飼さんも一緒に病院に向かうものだと思っていた。でも、「このままペンションに戻る。さっきの男がもし本物の紫竜なら、橘や子供達が心配だ。那和、姐さんを頼む」そう言うなり猛然と走り出した。
「未知、那和、任意でサツに事情を聞かれることになると思う。なんせ紫竜の情報が極めて少ないんだ。悪いが協力してやってくれ」
ハンドルを握る彼とバックミラー越しに目が合った。一瞬で顔が火照りだして、慌てて目を逸らした。
「那和、さっきから何ニヤニヤしてるんだ?」
「見て分からない?マーが見惚れている」
「俺にか?」
「あと誰がいるの」
ぷぷと那和さんが吹き出した。
「マーとオヤジ、本当に仲がいい。羨ましい」
「那和、お前こそ真沙哉とお似合いで羨ましいよ」
「ちょっと、それとこれとは関係ないでしょう」
那和さん耳まで真っ赤にしていた。
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