667 / 3581

番外編 暗澹

疲れた・・・・・太惺と心望を寝かし付け、ごろんと横になるとすぐに睡魔が襲ってきた。 一太と遥香は彼と一緒にお風呂に入っている。迎えに行かないといけなのに、瞼は今にもくっつきそうになっていた。 うとうとしながら睡魔と戦っていると、ひんやりとした風が部屋の中に入ってきた。 あれ?ちゃんと鍵を閉めたハズなのに・・・・首を傾げていると、今度はカーテンがゆらゆらと揺れてすらりと長い脚が見えた。 「何で・・・・・?」 ごく普通に部屋に入ってきたのは地竜さんだった。 眠気が一気に覚めて、慌てて飛び起きた。 「愛おしい妻と子供達に会いに来るのにいちいち理由が必要か?体調はどうだ?」 じりじりと近付いてくる地竜さんを睨み付けた。彼がいないこの状況で子供達を守れるのは僕しかいないもの。 「何でいつも警戒するかな。哀しくなるだろう」 やれやれとため息をつく地竜さん。 ベットの側まで来ると静かに腰を下ろした。 「白竜(バイノン)緑竜(リュノン)緑竜の似顔絵が公開された。俺も随分と格好良く描いてもらって、マーナオに礼を言わないとな」 薄ら笑いを浮かべる地竜さん。 何気に目が合うと、 「顔に嘘つきって書いてあるぞ」 くくくと苦笑された。 「白竜も緑竜もマーナオを抹殺しろと鼻息を荒くしていたが、考えてみたら身から出た錆びだ。たまにはお灸を据えた方が二人の為になる」 「那和さんは、真沙哉さんと一日でも早く一緒に暮らすために捜査に協力した。だから・・・・」 「マーナオは悪くない、だろ?」 音もなく手を捧げ持たれ、引っ込める間もなく指先にそっと口付けられた。 嫌悪感からかぞくぞくと鳥肌が立った。

ともだちにシェアしよう!