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番外編 暗澹

「地竜が連絡を寄越した。最初はハッタリだと思って相手にもしなかったが、未知が危ない、助けてほしいと何度も連絡を寄越しやがって。相変わらず何を考えているか、訳が分からん奴だ」 蜂谷さんがやれやれとため息をついた。 「蜂谷から連絡をもらい、2人をすぐに安全な場所に隠したんだ。良かった間に合って」 「遥琉さん、お兄ちゃんは?」 「サツが張り込んでいるのに気付いたんだろう。すぐに逃げ出したらしい」 「大陸の連中は気が荒い連中ばかりだ。脅され、暴力で服従させられ、2人を殺すように強要されたんだろう。警察は未知さんのお兄さんを逮捕することはない。保護するだけだ。だから安心しろ」 蜂谷さんが何とか励まそうとしてくれて。その気遣いが涙が出るくらい嬉しかった。 「ママだいじょうぶ?」 一太と遥香だって怖くて不安でいっぱいなのに…… 僕がしっかりしないと。 「うん大丈夫だよ。二人とも寒くない?」 湯冷めしない様に毛布を掛けてもらい、仲良く肩を寄せ合う二人をそっと抱き寄せた。すると一太がおなかに視線を向け、 「あかちゃん、いたいっていわない?」 心配そうにそんな事を言われてしまった。一太の優しさに思わず目が潤み、 「うん、大丈夫だよ。ごめんね、ママがしっかりしないといけないのにね」 ずずっと鼻水を啜ったら、彼に苦笑いをされてしまった。 「一太、遥香、ママもおなかの子も元気だ。だから安心しろ」 「ただでさえ顔が怖いんですから、もう少し笑ったらどうですか?」 「は?」 「笑顔がひきつってますよ」 橘さんに痛いところをつかれ、さすがの彼も言葉に詰まっていた。

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