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番外編 暗澹
突如として現れたのはお兄ちゃんだった。すぐ後ろに黒いフードを目深く纏った男性が立っていてお兄ちゃんを脅すためかこめかみに拳銃を押し付けていた。
兄ちゃんの両手には拳銃が握られていた。引き金を引いた状態で離さないように白い布みたいなものでぐるぐると巻かれて固定されていた。
お兄ちゃんの脚はガタガタと震えていた。
「ザォ シャ‼(早く 殺せ‼)」
男に命じられ、わぁ~~ぁ!喚き散らしながら、彼に狙いを定め引き金を引いた。
お願い!みんな逃げて!
バンバンと窓を叩いた。
近距離から狙撃されたら一溜りもないもの。
見ていられなくて思わず目を閉じた。
どうかみんな無事でいて。
祈りながら恐る恐る目を開けた。
僕のせいでもう誰も傷付くのを見たくなかった。
(嘘・・・・・)
にわかには信じがたい光景に、目をパチパチしながら二度三度見してしまった。
(・・・・スカルさん・・・・・何で?)
警察に包囲されたリーさんを逃がすため、自ら盾になって亡くなったって・・・・彼が。
「オヤジがチャンスをヤツに与えたんだよ。尊を誰よりも愛しているなら罪を償いながら生き直せってな」
鳥飼さんの声が後ろから聞こえてきて吃驚して振り返ると、懐かしい温もりに溢れた腕の中にすっぱりと抱き締められていた。
「良かった無事で・・・・・」
「一応、妊婦でしょう。大人しくしてないとダメでしょう」
ポロポロと大粒の涙を流し、二人は泣いていた。
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