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番外編きみが癒し 生きる希望
はじめこそ目の敵にしていけど、口で橘さんに敵うわけがなく早々に白旗を上げた。
僕や子供達に危害を加えない。
彼やご近所さんに絶対に迷惑を掛けない。
僕に会いに来るときは丸腰で、弾よけは付けない。一人で来る。
橘さんから提示された条件を、渋々ながらも受け入れた。
「しかし勿体ない。超売れっ子のストリッパーだったのにな・・・・」
「あの、地竜さん」
勘違いしているようだから、ちゃんと教えてあげなきゃと思ったら、お昼寝していた遥香がもぞもぞと起きてきて、空いているもう片方の膝にごろんと横になり、またすやすやと眠り始めた。
よし今度こそ………もう一度声を掛けようとしたら、地竜さんのスマホが鳴り出した。ちらっと画面に目をやると、すぐにポケットにし舞い込んだ。
「出なくていいんですか?」
「鬼の居ぬ間に未知を独り占め出来る。こんなチャンスは滅多にない」
嬉しそうに頬をスリスリさせる地竜さん。顎髭がくすぐったくて身を捩らせると、腰に腕が回ってきた。
「遥琉は鬼じゃありませんよ」
「俺にとっては鬼だ」
「向かうところ敵なしの貴方にも怖いものがあるなんて」
橘さんがクスリと笑った。
「笑うことないだろ」
顔を真っ赤にし不貞腐れる地竜さん。体の向きを変えるとプイッと顔を逸らした。
一度はすぐに電話が切れた。
でも三分おきに何度も掛かって来るようになって、あぁ~~もう!しつこい!ぶつぶつとぼやきながらポケットに手を伸ばした。
電話に出るなり『〇△+〇×△』早口で捲し立てられ、地竜さんの顔つきと声色が変わった。
地竜さんが何を言ってるかちんぷんかんぷんだったけど、怒っているのは確かだった。
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