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番外編 きみが癒し生きる希望
「昇龍会と手を組むだと、ふざけているのか」
「束になっても敵わない。力の差は歴然としている。今は手を組んだ方が利口だ」
すぐ近くにいた紗智さんと那和さんが通訳してくれた。
「正気の沙汰ですか?」これには橘さんも鳥飼さんも驚いていた。
「手を組むのは昇龍会じゃない。菱沼組とだ。未知のために死ねるなら本望」
歯の浮くような台詞をさらりと口にする地竜さん。
何事もなかったように電話の相手とまた会話をはじめた。
「ねぇ橘、携帯鳴ってない?出なくていいの?」
那和さんに言われ「噂をすれば何とやらですね」ため息をつきながらスマホを耳にあてた。
『おぃ地竜、人の女房にベタベタ触ってんじゃねぇ。どさくさに紛れて腰に手を回しているんじゃねぇ。誰が鬼だって?出入り禁止にするぞ‼聞いてんのか』
電話に出るなり彼の怒鳴り散らす声が部屋中に響いた。
「たく、また通話中にしやがって。おぃ橘、あとで覚えておけよ」
一方的電話を切ると、むくっと起き上がって、凄みを聞かせ橘さんを睨み付けた。
回りがこれだけ騒々しいのにも関わらず、遥香はピクリとも動かず眠り続けていた。
「私ではありませんよ」
「は?あと誰がいるんだよ」
紗智さんと那和さんは二人ともスマホを持っていない。となると残りは一人しかいない訳で・・・・・
「お前か」今度は鳥飼さんを睨み付けた。
「そこは元々、紗智や那和の場所だ。姐さんがイヤだって言えないのを分かってて好き勝手なことをしてるんじゃねぇ」
ドスの効いた低い声で言い返すと負けじと睨み付けた。
すると地竜さんがゲラゲラと笑いながら両手を叩き始めた。
「さすが九鬼の一匹狼。お前くらいの男が・・・・」
「五月蝿い。黙れ」
お互い一歩も譲らず。
重苦しい空気が辺りを包み込み、緊張が走った。
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